ドラフトの戦略2

2手目・上の色を読み解け!


第1回】 ← ドラフトの戦略 → 【第3回

このコーナーで使用している、ドラフト用のブースターパック見本は、
Eternal Dream 様のサイトで擬似的に出力されたものを使わせてもらいました。
(ソートの情報には言及しません、ご了承ください)


第2手目は重要

上と色がかぶらないようにする……これはドラフトを成功させる必須条件と言ってもよい、大切なコツです。そのためにも、まずは上がどの色を取っているのかを知りたいはず。
その第一歩として、1パック目の第2手で流れてくるカードに注目しましょう。
ドラフトをする際は、せっかくの強力なピックを無駄にしたくないという心理から、「初手にひきずられて色を決めてしまう」ケースが案外あります。特に、初手が強力なカードであれば一層その傾向は強くなります。そのため、「初手で上がどの色をピックしたのか」がわかれば、ドラフトを有利に進められそうです。
第2手に流れてくるカードには、上流のプレイヤーの意思がはっきり反映される場合があるので、きわめて重要です。時に、強いパックが流れてきた場合には、色に関して多くのことを読みとることができます。ここから分析をスタートしましょう。

 強いカードは、レアリティもチェック!

すぐにわかる情報として、チェックしたいのは、
 「レア」「アンコモン」「コモン」のカード群の中で、どのカードが抜かれたか?
ということです。
その後、残っている強力なカードを確認します。
 「上が白を取ったとしたら、何を取ったのだろう?」
 「上が青を取ったとしたら、何を取ったのだろう?」
   ……
と順に考えていくと、上が取った色を絞ることができます。

実践(1)

実際にやってみましょう。
2手目に受け取ったパックがこのような内容だったとします。
判りやすいよう、ドラフト点数表の点数も側に書いておきます。
第1パック・2手目
[R](4.0点-)《大魔導師の昇天》
[U](6.5点)《変わり樹のバジリスク》
[U](6.5点)《霊気の想像体》
[C](4.5点)《ピラニアの湿地》
[C](5.0点)《ジョラーガの吟遊詩人》
[C](7.5点)《見栄え損ない》
[C](6.5点)《コーの奉納者》
[C](8.0点)《板金鎧の土百足》
[C](6.5点)《石造りのピューマ》
[C](5.5点)《ぐらつく峰》
[C](5.5点)《取り消し》
[C](7.0点)《コーの鉤の達人》
[C](8.0点)《忌まわしい最期》
[C](4.0点-)《森》
まず、「アンコモン」が抜けていることはすぐわかると思います。
残ったカードの中で強力なもの(目安として7点以上)は、
  《忌まわしい最期》《板金鎧の土百足》《見栄え損ない》
があります。いずれもコモンのカードです。
(ちなみに、実践ではドラフト点数表といちいち照合するわけにはいきませんが、何度かドラフトを重ねるうちに、強力カードは頭に入ってくると思います。その際、レアリティを気にして頭に入れておきしょう)
これらから推測できることは、
・「《忌まわしい最期》」よりも強力なアンコモンを取った。
・つまり、取ったと思わるカードの候補は、点数表を参考に眺めると、まあこんなところになります。
  黒なら、《湿地での被災》《吸血鬼の夜鷲》
  赤なら、《罰する火》
  白なら、《迷いし者の番人》《カザンドゥの刃の達人》
  もしくは、《信頼おける山刀》
特定の色にコダワリのあるプレイヤーでない限りは、おそらく青や緑は取っていないでしょう。
ゼンディカーの黒のアンコモンは別格なので、上が黒を取っている可能性は捨て切れませんが、
黒・赤の強力カードを流していますので、「赤」や「黒」は取ってなさそう。
取っている可能性が、最も高そうなのは「白」、次点は「黒」。
以上のことが読み取れるのです。
※ ゼンディカーは、少々特殊なほどに黒に強力なカードが偏っているため、この状態のパックでも「上は黒を取っていない」とは断言できません。ゼンディカー・ドラフトで色を読むときには、パックに強力な黒カードがあるという「見せ掛け」に騙されないよう注意しておくと良いでしょう。なお、被ったのを承知で黒に突き進んでもそこそこのデッキに仕上がることも多いのが、ゼンディカーの特徴です。
よって、赤黒青緑あたりのカードをピックするのが、色の共存を図る上で無難な選択といえます。初手にもよりますが、私なら、赤の《板金鎧の土百足》を取ります。
初手で白を取っていたら、色を変えることも考えた方がよさそうです。(色の決定は早いほど良い)

実践(2)

もう1つ例を。
第1パック・2手目
[R](4.0点-)《紅蓮術士の昇天》
[U](7.0点)《マーフォークの海忍び》
[U](5.5点)《カザンドゥの隠れ家》
[U](4.0点-)《ルーン炎の罠》
[C](6.5点)《領地のベイロス》
[C](7.0点)《ニマーナの売剣》
[C](7.5点)《ウマーラの猛禽》
[C](5.5点)《蜘蛛糸の網》
[C](6.0点)《オラン=リーフの出家蜘蛛》
[C](5.5点)《血の求道者》
[C](4.0点-)《陽の泉の探検》
[C](5.0点)《カビーラの交差路》
[C](6.5点)《髑髏砕きの巨人》
[C](4.0点-)《森》
コモンが抜けています。
※ コモン抜けの場合はプレミアム・カードが取られた可能性もあります。ただし「強力な」プレミアム・カードが出現するのは確率的にかなり稀。稀なことを必要以上に考えると現実を見失い易くなるので、ここでは避けます。
7点以上の強力カードは、
  《マーフォークの海忍び》《ウマーラの猛禽》《ニマーナの売剣》
というところでしょうか。
このレベル以上のコモン、となると、
  白なら、《未達への旅》《コーの空漁師》
  黒なら、《忌まわしい最期》《見栄え損ない》
  赤なら、《噴出の稲妻》、《板金鎧の土百足》
青や緑は、《ウマーラの猛禽》より優先するほどの強いコモンはないので考えにくいです。
よって、
上は、白赤黒あたりのどれかを取った可能性が高い
ことがわかります。まだ特定はできません。
青の強力カードが2枚来ていますから、上が青をピックすることは今後もまずないと見てよさそうです。
私なら、下に青と黒を流すことになるのを意識しつつ、色拘束の強くない《ウマーラの猛禽》を取るでしょうか。下と色がかぶるのも避けたいですが、上とかぶるよりはずっとマシですからね。


万能なわけではない!

もういっちょ。
第1パック・2手目
[R](6.0点)《書庫の罠》
[U](4.0点-)《先駆者の長靴》
[U](6.5点)《変わり樹のバジリスク》
[U](6.5点)《ムラーサの紅蓮術士》
[C](4.0点)《絡め汁》
[C](6.0点)《タクタクの唸り屋》
[C](5.0点)《柱平原の雄牛》
[C](6.5点)《乱動への突入》
[C](5.5点)《吸血鬼の一噛み》
[C](7.0点)《砕土》
[C](6.0点)《ゴブリンの奇襲隊》
[C](5.0点)《気高き面影》
[C](5.0点)《カビーラの交差路》
[C](4.0点-)《山》
コモン抜けです。レアもアンコモンも強くないので、これは予想が難しいケースです。
強いカードを見ても、合格ラインは《砕土》のみ。
《砕土》以上のカードは、各色のコモンにあるので、断定はできません。
《砕土》をとって、もう少し様子をみましょう。
2手目のパック次第では、このようなことも ままあります。
特に、パックが極端に弱い(強力なカードがごく限られている)と、予測は困難です。

 レア抜け

もうひとつ、予想しにくいケースが、レア抜けのパターン。
レアには強力なカードがごまんとあるので、どの色をとっているか、まず判りません。
この場合は、シグナルを受け取れない、と潔くあきらめましょう。
逆に考えれば、初手で安易なレア取りをすると、下がシグナルを受け取れず、下と色をかぶらせてしまう可能性を高めることに繋がります。(だからといって強力なレアをみすみす流す必要もないですが…)


最後に

そもそも上流が初手のカードに固執したピックを続けるとも限りません。
また、読みは人によって誤差がありますし、読むかどうかを意識してドラフトするかも人によります。
信用しすぎないように注意して、楽しいドラフト・ライフを!

第1回】 ← ドラフトの戦略 → 【第3回



'Blinkmoth'トップへ戻る