ドラフトの戦略4

WWKx3ドラフト・アーキタイプ


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ちょうどMagic Onlineでワールドウェイク(WWK)のプレリリースイベントが行われており、せっかくなので、普段なかなかやらないWWKx3ドラフトを少しやりました。今回はその覚えです。
私GRは、WWWx3ドラフトはまだ10回程度しかやっていないですが、その中で見かけた強力なデッキの構成(アーキタイプ)を3つほど紹介します。何かの役に立てば幸い。


アーキタイプ

アーキタイプ・ドラフトとは、ドラフトの戦略の1つで、最終的なデッキの構成(アーキタイプ)を見据えてピックを決めてゆく、というものです。これは、単純に「(ドラフト点数表などを見て)強いカードを取る」という戦略とは違い、デッキの総合力で勝負します。
一般に、デッキ内でのカードの役割や相互作用を重視する傾向があります。中でも、
・単体では弱いため低く評価されるカード
・用途が限定されて特定のデッキにしか入らない、ニッチなカード
これらに注目したアーキタイプは、状況に左右されにくいピックができる点で有利です。そのため、この戦略では、「強いカードを取る」戦略の真逆を行く場合も ままあります。
基本的には、その環境で「有利な」デッキ構成を目指してピックを進めます。アーキタイプを意識したドラフトは、うまく想定どおりのピックができれば強力なデッキを組めますが、失敗すると、中途半端なデッキになるリスクがあります。特に、途中からの建て直しが難しいデッキ構成を狙う場合は要注意です。

 決め打ち?

「私は赤が好きだから、赤のカードだけをピックする」という、いわゆる「決め打ち」もアーキタイプ・ドラフトの一種です。ただ、始めからアーキタイプを1つに決め打ってドラフトに臨むと、失敗するリスクが高いため、戦略としてはあまり望ましくありません。
序盤の流れに応じて使えそうなアーキタイプを選択し、あとはデッキの完成形に向かって必要なカード、もしくは足りていないカードを取っていくのが普通です。強力なアーキタイプを多く知っていれば有利になるという訳です。

 WWKx3 ドラフト

WWKx3の環境のようにカードプールが狭い場合、
 (1) 複数取れると強力になるカードをかき集めるのが容易になる。
 (2) 特定のデッキ構成に対処する手段が、きわめて限られてしまう。
これらの理由から、強い順にカードをピックする戦略よりも、アーキタイプを意識してドラフトした方が、結果的に強いデッキが作れることが多いです。

(1) 緑単

 主なデッキ構成

・マナ加速 + 大型クリーチャー。スペルよりもクリーチャーを優先。ワールドウェイクの、緑マナを多く要する強力カードをかき集める方針になります。
・具体的には、(GGG)を要求する3マナ4/5、《皮背のベイロス》。これを序盤に出し、大型クリーチャーで押し切ります。アンコモンですが緑単でないと取られないので、2〜3体集まることも良くあります。
ワールドウェイクにはコモンのマナ加速が充実しているため、これらも併用します。《東屋のエルフ》から2ターン目に4/5を出されると、対戦相手は《燻し》あたりを持っていない限り対処できません。
・クリーチャーサイズで負ける心配はないですが、直接除去を持たないため、《蒸気の捕獲》が天敵です。エンチャント破壊の《自然の要求》は確保しましょう。

 デッキ例

WWKx3・ドラフト デッキ
クリーチャー (15)
2 x [C]《東屋のエルフ》 : マナ加速。
1 x [C]《闘士蜘蛛》
1 x [C]《噛み付く忍び寄り》
2 x [U]《巨森の精霊信者》
3 x [U]《皮背のベイロス》 : デッキの主役、大型クリーチャー。
2 x [C]《灰色革の狩人》 : 強力な同盟者。他の人にも取られやすいのが難点。
2 x [C]《巨森のゼンディコン》 : 大型クリーチャーも、このデッキなら出せる。
2 x [U]《獣性の脅威》 : 《連鎖反応》などの全体除去もあるので、出しすぎには注意。
スペル (9)
2 x [C]《地うねり》 : 緑単の除去代わり。火力の回避にも。
1 x [C]《自然の要求》 : 厄介な装備品や、《蒸気の捕獲》対策。
3 x [C]《探検》 : 取りやすいマナ加速&圧縮。
2 x [U]《梢の覆い》 : 除去からクリーチャーを守るにはうってつけ。
1 x [U]《破滅の槌》
土地 (17)
14 x [C]《森》
3 x [C]《流砂》 : 緑単には貴重な除去。入れましょう。

(2) 緑黒同盟者

 主なデッキ構成

・成長する同盟者が白・黒・緑にあるため、これらの色で同盟者をかき集めます。中でも《灰色革の狩人》が優れています。パワーで押すなら緑が中心になりますが、白よりは黒が除去に優れるため、黒緑の2色で組めるとデッキが安定しやすいです。
・集めるほど強くなるので、同盟者を優先してピックします。スペルは黒除去のみでも十分。

 デッキ例

WWKx3・ドラフト デッキ
クリーチャー (19)
3 x [C]《東屋のエルフ》
1 x [C]《闘士蜘蛛》
2 x [C]《噛み付く忍び寄り》
2 x [C]《腐敗したゼンディコン》
2 x [C]《ボジューカの盗賊》 : なるべく数を集めたいコモン同盟者。
3 x [U]《巨森の精霊信者》 : アンコモンだが流れやすい同盟者。
1 x [U]《皮背のベイロス》
3 x [C]《灰色革の狩人》 : これを多くかき集めるのが鍵。何より優先。
1 x [U]《海辺の回収者》
1 x [C]《巨森のゼンディコン》
スペル (4)
1 x [C]《地うねり》
1 x [U]《梢の覆い》
1 x [C]《墳墓の呪詛》 : 緑の強化よりは、なるべく黒除去スペルを。
1 x [U]《食餌の衝動》 : 除去。
土地 (18)
9 x [C]《森》
6 x [C]《沼》
1 x [C]《カルニの庭》
2 x [C]《流砂》

(3) 白青同盟者

 主なデッキ構成

・防御カードに優れる2色で組み、時間を稼いでいる隙にライブラリを削ります。ちなみに《ハリマーの採掘者》が2枚戦場に出ている状況なら、《兵員への参加》 を唱えることで最低でも16枚削れます。
《ハリマーの採掘者》《兵員への参加》 を中心に同盟者をかき集め、あとは戦場の同盟者を守る構成にします。
・防御寄りでもOKですが、《ハリマーの採掘者》を多く取れなかった場合、勝ち手段を失う危険があるため、回避能力を持つクリーチャーも幾つか取っておくと良さそうです。

 デッキ例

WWKx3・ドラフト デッキ
クリーチャー (17)
2 x [U]《ハーダの自由刃》 : 人気カード。取れたらラッキー。
1 x [U]《境界線の隊長》
1 x [C]《風のゼンディコン》
1 x [C]《巣立つグリフィン》
1 x [U]《セジーリのマーフォーク》 : 割と確保できる。
4 x [C]《ハリマーの採掘者》 : メインの勝ち手段。取れるだけ取ろう。
1 x [R]《ジュワーの多相の戦士》 : このデッキ構成なら使える。
2 x [C]《方解石のカミツキガメ》
1 x [U]《潮力の精霊》
3 x [C]《兵員への参加》 : コンバットトリックにも、エンドカードにもなる。
スペル (6)
2 x [C]《払拭》 : 天敵の単体除去をかわすために入れる。
1 x [C]《古参兵の反応》 : マイナス修整除去や火力の対策に。
2 x [C]《上天の貿易風》 : これも除去をかわす目的。何かと便利。
1 x [C]《深遠の謎》 : ドローは基本。
土地 (18)
7 x [C]《平地》
6 x [C]《島》
2 x [C]《ハリマーの深み》 : 地味だが役立つライブラリ操作。
3 x [C]《流砂》

 おわりに

強力なアーキタイプは まだまだ他にもありそうですが、とりあえず今回はこの辺で。
アーキタイプ探しは楽しいんですが、個人の好みや癖が大いに反映されそうですね。

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