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ドラフトの戦略5
ゼンディカー・アンコモンソート


はじめに……今回は「ソート」と言われるものを取り上げます。
ドラフトの戦略には違いないのですが、覚えていないかぎりは、実践ですぐに役立つ内容ではありませんので悪しからず。
ドラフトの戦略には違いないのですが、覚えていないかぎりは、実践ですぐに役立つ内容ではありませんので悪しからず。
以前、ドラフトの戦略2 〜2手目・上の色を読み解け!〜 で、「上流の人が初手で何を取ったか」を知ることが、自分の色を決める上でとても有益だという話をしました。
「ソート」を知っていると、より正しく上流の人が取ったカードの色を予測する、場合によっては取ったカードをほぼ確定させることができます。
「ソート」を知っていると、より正しく上流の人が取ったカードの色を予測する、場合によっては取ったカードをほぼ確定させることができます。
「ソート」とは
ブースターパックには、一見するとカードがランダムに入っているように見えます。しかし、実は完全にランダムというわけではなく、特定のカードが揃って出やすい傾向があります。
これはカードを封入する際に意図的に行われているようで、一連の並び順は「ソート」と呼ばれています。
理由は、私GRは詳しくは知らないのですが……
「パックの強さが極端に偏ってしまうと、(特にリミテッドでの勝敗が)プレイヤーの技術よりもパックの運の要素に左右され、ゲームの面白さが損なわれてしまうから」と一般に言われているようです。
理由は、私GRは詳しくは知らないのですが……
「パックの強さが極端に偏ってしまうと、(特にリミテッドでの勝敗が)プレイヤーの技術よりもパックの運の要素に左右され、ゲームの面白さが損なわれてしまうから」と一般に言われているようです。
ソートは各レアリティごとにありますが、今回はアンコモンのソートを取り扱います。
ソートについての考え方は、コモンの場合でも大差ありません。コモンのソートは、他でも解析して公開しているところがあるようですので、そちらを参照ください。
ソートについての考え方は、コモンの場合でも大差ありません。コモンのソートは、他でも解析して公開しているところがあるようですので、そちらを参照ください。
参考リンク:
ゼンディカー・アンコモンのソート
並び順は、パックから出てきたカードから推測するしかないのですが、今回は、652パック分の記録から解析しました。解析方法を書くと長くなるので、結論だけここに記します。
調べた範囲での例外は1%以下(3パック分、記録ミス?)で、ほぼ正しいと確信していますが、間違いがないとは言い切れません 。留意ください。
調べた範囲での例外は1%以下(3パック分、記録ミス?)で、ほぼ正しいと確信していますが、間違いがないとは言い切れません 。留意ください。
(1) アンコモンのソートは2種ある。
・強めのカードが多く含まれている、Aソート・全33種
・弱めのカードで構成されている、Bソート・全27種
(2) 1つのブースター・パックから出現するアンコモンは、・弱めのカードで構成されている、Bソート・全27種
・「Aソートから2枚」+「Bソートから1枚」
・「Bソートから2枚」+「Aソートから1枚」
のいずれかの組み合わせである。3枚の順序が変わることも良くある。・「Bソートから2枚」+「Aソートから1枚」
※ アンコモン・ソートを解析する場合、隣接する2枚の情報しか得られないので、ソートの並び順までは確定できません。ただし、並びを仮に決めたとしても実用上は全く問題ないため、利用しやすさを考慮して「ソート」として示しました。
※ 「A-あ」「A-を」といったカード番号は、解析した私GRが便宜上つけたもので、特に意味はありません。
※ プレミアム・カード(フォイル)は、アンコモン枠とは別に入っているため、ソートの対象外です。
Aソート
アンコモン・Aソート | |||||||||
|
|
Bソート
アンコモン・Bソート | |||||||||
|
|
ソートを活用する
このソートを活用することで、ドラフト中にアンコモンが1枚抜けてきた場合に、上流が何を取ったかをある程度絞り込める場合があります。
特にアンコモン・ソートは、コモン・ソートとは異なり、プレミアム・カード(フォイル)の存在で枚数が左右されないため、「ソート情報が間違っていた」以外の不確定要素が入りません。
特にアンコモン・ソートは、コモン・ソートとは異なり、プレミアム・カード(フォイル)の存在で枚数が左右されないため、「ソート情報が間違っていた」以外の不確定要素が入りません。
流れてきた2枚が、同じソートに属する場合
この場合、流れてこなかった方のソートに含まれるカードから1枚ピックされたことはわかりますが、候補が30枚近くあるので予測は困難です。
流れてきた2枚が、別のソートに属する場合
上流が取った可能性の高いカードを絞ることができます。
仮に、1パック目の第2手で、受け取った2枚が、《原初の怒声》(B21)と《ベイロスの林壊し》(A-そ)とであった場合を考えましょう。
ソートでそれぞれのカードに隣接するカードを確認すれば、候補は8枚まで絞られます。
ソートでそれぞれのカードに隣接するカードを確認すれば、候補は8枚まで絞られます。
「上流がBソートのカードを取ったとした場合」
《古き秘密の探索》、《土地縛りの儀式》、《カザンドゥの隠れ家》、《不安定な足場》。
「上流がAソートのカードを取ったとした場合」
《噴火滑り》、《迷いし者の番人》、《業火の罠》、《落とし穴の罠》。
実際のドラフトでは強いカードが取られますから、Aソートのカードが取られている場合が大半です。したがって「上流がAソートのカードを取ったとした場合」の4枚だけを考慮すれば良い です。(すなわち、実用上は強いほうのAソートだけを覚えておけば十分、という訳です。)《古き秘密の探索》、《土地縛りの儀式》、《カザンドゥの隠れ家》、《不安定な足場》。
「上流がAソートのカードを取ったとした場合」
《噴火滑り》、《迷いし者の番人》、《業火の罠》、《落とし穴の罠》。
上のケースでは、どれもそこそこ強力なカードなため、初手として取っている可能性があり、特定は難しいです。
ただし、他のカード情報の助けを一切借りずとも、上流の人は 赤 か 白 のカードをピックした ことがほぼ確定できます。
ただし、他のカード情報の助けを一切借りずとも、上流の人は 赤 か 白 のカードをピックした ことがほぼ確定できます。
まとめ!
アンコモンが1枚抜けた状況で見かけた残りのアンコモンから、推測される色をまとめます。
(ドラフト点数表で7点未満のカードは小さく表記しています)
(ドラフト点数表で7点未満のカードは小さく表記しています)
見かけたカード | 上流の人が取ったカード | 推測 |
A-あ ![]() | 《猛火の松明》 or 《マーフォークの海忍び》 or 《信頼おける山刀》 or 《霊気の想像体》 | ? |
A-い ![]() | 《コーの飛空士》 or 《吸血鬼の呪詛術士》 or 《落とし穴の罠》 or 《墓所王の探索》 | 白or黒 |
A-う ![]() | 《マーフォークの海忍び》 or 《ムラーサの紅蓮術士》 or 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 or 《ゴーマゾア》 | 青 |
A-え ![]() | 《吸血鬼の呪詛術士》 or 《タジュールの射手》 or 《ベイロスの檻の罠》 or 《墓所王の探索》 | 黒or緑 |
A-お ![]() | 《ムラーサの紅蓮術士》 or 《飛来する矢の罠》 or 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 or 《信頼おける山刀》 | ? |
A-か ![]() | 《タジュールの射手》 or 《霊気の想像体》 or 《生きている津波》 or 《猛火の松明》 | ? |
A-き ![]() | 《飛来する矢の罠》 or 《ハグラの悪魔信者》 or 《コーの飛空士》 or 《マラキールの門番》 | 白or黒 |
A-く ![]() | 《霊気の想像体》 or 《罰する火》 or 《噴火滑り》 or 《生きている津波》 | 赤or青 |
A-け ![]() | 《ハグラの悪魔信者》 or 《変わり樹のバジリスク》 or 《湿地での被災》 or 《コブラの罠》 | 黒or緑 |
A-こ ![]() | 《罰する火》 or 《カルニの宝石》 or 《噴火滑り》 or 《風をまとう突撃》 | 赤 |
A-ゐ ![]() | 《変わり樹のバジリスク》 or 《落とし穴の罠》 or 《リバー・ボア》 or 《カザンドゥの刃の達人》 | 白or緑 |
A-さ ![]() | 《カルニの宝石》 or 《マーフォークの道探し》 or 《マーフォークの海忍び》 or 《ベイロスの林壊し》 | 緑or青 |
A-し ![]() | 《落とし穴の罠》 or 《マラキールの門番》 or 《吸血鬼の夜鷲》 or 《風をまとう突撃》 | 白or黒 |
A-す ![]() | 《マーフォークの道探し》 or 《噴火滑り》 or 《反逆の印》 or 《霊気の想像体》 | 青or赤 |
A-せ ![]() | 《マラキールの門番》 or 《ベイロスの林壊し》 or 《ハグラの悪魔信者》 or 《変わり樹のバジリスク》 | 黒or緑 |
A-そ ![]() | 《噴火滑り》 or 《迷いし者の番人》 or 《業火の罠》 or 《落とし穴の罠》 | 赤or白 |
A-た ![]() | 《ベイロスの林壊し》 or 《召喚士の破滅》 or 《ゴーマゾア》 or 《コブラの罠》 | 緑 |
A-ち ![]() | 《迷いし者の番人》 or 《吸血鬼の夜鷲》 or 《カザンドゥの刃の達人》 or 《湿地での被災》 | 白or黒 |
A-つ ![]() | 《召喚士の破滅》 or 《反逆の印》 or 《マーフォークの道探し》 or 《業火の罠》 | 赤 |
A-て ![]() | 《吸血鬼の夜鷲》 or 《コブラの罠》 or 《マラキールの門番》 or 《リバー・ボア》 | 黒or緑 |
A-と ![]() | 《反逆の印》 or 《信頼おける山刀》 or 《迷いし者の番人》 or 《罰する火》 | ? |
A-ゑ ![]() | 《コブラの罠》 or 《カザンドゥの刃の達人》 or 《コーの飛空士》 or 《タジュールの射手》 | 白 |
A-な ![]() | 《信頼おける山刀》 or 《生きている津波》 or 《カルニの宝石》 or 《召喚士の破滅》 | ? |
A-に ![]() | 《カザンドゥの刃の達人》 or 《墓所王の探索》 or 《ハグラの悪魔信者》 or 《飛来する矢の罠》 | 白 |
A-ぬ ![]() | 《生きている津波》 or 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 or 《ムラーサの紅蓮術士》 or 《マーフォークの海忍び》 | 青 |
A-ね ![]() | 《墓所王の探索》 or 《ベイロスの檻の罠》 or 《吸血鬼の呪詛術士》 or 《タジュールの射手》 | 黒or緑 |
A-の ![]() | 《ゴブリンの廃墟飛ばし》 or 《風をまとう突撃》 or 《ムラーサの紅蓮術士》 or 《猛火の松明》 | ? |
A-は ![]() | 《ベイロスの檻の罠》 or 《ゴーマゾア》 or 《マーフォークの道探し》 or 《変わり樹のバジリスク》 | 緑 |
A-ひ ![]() | 《風をまとう突撃》 or 《湿地での被災》 or 《迷いし者の番人》 or 《吸血鬼の呪詛術士》 | 白or黒 |
A-ふ ![]() | 《ゴーマゾア》 or 《業火の罠》 or 《罰する火》 or 《召喚士の破滅》 | 赤 |
A-へ ![]() | 《湿地での被災》 or 《リバー・ボア》 or 《吸血鬼の夜鷲》 or 《ベイロスの林壊し》 | 黒or緑 |
A-ほ ![]() | 《業火の罠》 or 《猛火の松明》 or 《カルニの宝石》 or 《反逆の印》 | ? |
A-を ![]() | 《リバー・ボア》 or 《コーの飛空士》 or 《飛来する矢の罠》 or 《ベイロスの檻の罠》 | 白or緑 |
上の表からもわかりますが、基本的にAソートで隣接しているのは友好色の関係にあるカードのみ です。おそらく、実際のソートの順も 白→青→黒→赤→緑→白→… となっているためでしょう。
ですから、単純にアンコモン1枚抜けの場合「Aソートの緑のアンコモンが流れてきたから、上流で 赤 か 白 のカードを取ったのだろう」と考えても概ね問題ありません。
アーティファクトは必ず緑と白の間に来ているようですから、緑や白の強いアンコモンが流れてきた場合は、《信頼おける山刀》 などの強力アーティファクトの存在にも注意してください。
ですから、単純にアンコモン1枚抜けの場合「Aソートの緑のアンコモンが流れてきたから、上流で 赤 か 白 のカードを取ったのだろう」と考えても概ね問題ありません。
アーティファクトは必ず緑と白の間に来ているようですから、緑や白の強いアンコモンが流れてきた場合は、《信頼おける山刀》 などの強力アーティファクトの存在にも注意してください。
ソート利用の是非
ソートを知っていると、ドラフトを有利に進められるのは間違いありません。
ソートを元にした戦術は、「正しく知っている」ことが前提なので、忘れてしまったり、そもそもソート情報が一切わからない新しいセットならば役に立ちません。有用性がきわめて限られます。
しかも、ソートを調べ、それを覚えて使うのは多大な労力が必要ですし、たとえ覚えたとしても、間違えて認識していたりすると読みを誤る危険もあります。私GRとしては、あまりオススメしません。
こういう情報もあるよ、程度に認識しておくのが賢い利用の仕方かと思います。
おわりに
ソートが存在することは何となくは判るのですが、きちんと解析しようとすると多大な時間がかかることを身をもって知らされました。
今回の解析でも8時間近くを費やしてしまったので、私自身もうコリゴリというところです。
今回の解析でも8時間近くを費やしてしまったので、私自身もうコリゴリというところです。
そもそもソートを気にしすぎて、楽しめなくなってしまっては本末転倒。
皆さん、何事もほどほどにドラフトを楽しんでくださいね。
皆さん、何事もほどほどにドラフトを楽しんでくださいね。

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